新型コロナウイルス感染症対策に関する意見書(案) | ちば自民党

新型コロナウイルス感染症対策に関する意見書(案)

 現在も続いている新型コロナウイルス感染症(以下「本感染症」という。)の脅威は、世界中を震撼させており、本年4月26日時点で、我が国の感染者数は13,182名、死者数は348名、本県における感染者数は812名、死者数26名と、日々ふえ続けており、収束の見通しがつかない状況といえる。

現在のところ、確立された特効薬やワクチンはなく、また、他国で起きたような、指数関数的な感染者の増加例を考えると、本感染症以外の疾病にも影響を与える医療崩壊だけは何としても防ぎ、国民の命を最優先で守っていかなければならない。

 そのために不可欠となる感染拡大防止策については、本年3月14日に施行された改正新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」という。)を中心とする我が国の現行の法制度のもとでは、欧米で見られるような都市封鎖を可能とする強制力を伴う措置はなく、基本的には活動の自粛要請、すなわち、国民一人一人の協力による行動変容にかかっている。

 現在、本県においても、県民と一丸となってこれに取り組んではいるものの、休業要請等の実施にさまざまな困難な問題が伴うなど、この自粛による感染拡大防止策に限界があることは否定できず、感染爆発までをも視野に入れた医療体制の整備が喫緊の最優先課題となっている。

 本県では、本感染症の対応病床1,700床の確保に向けた取り組みや、PPEなどの医療物資の確保等を進めているものの、国からのさらなる支援が不可欠である。

 また、本年4月7日に出された緊急事態宣言及びそれ以前からの活動自粛要請により、イベントを初めとする各種の企業活動は停滞し、県内雇用や個人の消費マインドにも大きな影響を及ぼし、さらに、昨年の台風・豪雨災害による爪痕が残っていることも相まって、県民生活は大変深刻な状況にある。

 そして、本感染症の収束の見通しがつかめず、長期間の影響となる可能性も否めないことから、まずは、当面の感染拡大状況下での、県民生活や各事業者への迅速な支援が喫緊の課題となる。また、本感染症の収束後の将来を見据えた計画的な対策・支援の準備も求められている。

 現在、県は、県民の安全と暮らしを守るために、市町村・医療関係者等の関係機関と連携しながら、各方面の対策に全力で取り組んでいるところであるが、国においては、令和2年2月定例県議会において、本議会が提出を行った意見書に続き、下記の事項について、早急な対応が図られるように強く要望する。

1.医療提供体制の整備に関して、特効薬やワクチンの早期開発や、アビガン等の有効性が認められる治療薬、人工呼吸器等の医療機器及びN95マスク・防護服・フェイスガード等のPPEなどの医療用物資・資材等の十分な生産・調達と迅速な供給に取り組むこと。

 また、本感染症の対応病床を提供する病院への支援、医療従事者に対する診療報酬上乗せの早期実現と従事環境の改善、本感染症以外の疾病に対応する病院・診療所等でのオンライン診療の実施などの感染症対策への支援、保健所の人員補充への支援と機能の強化及び医療提供体制の進捗状況に応じたPCR検査の強化や抗体検査の開発等への支援等にも取り組むこと。

 さらに、対応病床の状況など、リアルタイムの情報が関係機関で集約一元化して活用することができるシステムの早期構築、無症状者・軽症者の滞在用施設や臨時の医療施設の開設にあたり、ホテル等の民間施設の借り上げ・開設費用などの関連経費及び応援医師等の人的物的な支援と円滑な実施に必要となる立法措置の検討及び都道府県調整本部などの広域対応に必要な連携体制の強化などにも取り組むこと。

2.感染拡大防止に関して、各自治体において、国民や事業者への活動の自粛要請の実効性を担保するために必要となる、協力金、事業の損失補償及び生活費相当の金銭給付等の実施のために必要な支援と財源の確保に取り組むこと。

 また、医療機関や社会福祉施設等のニーズに応えて、マスクや消毒液等が確実かつ迅速に供給されるように、十分な生産と調達に取り組むこと。

 加えて、今後のさらなる感染拡大への備えとして、特措法よりも強制力のある特別立法及び災害対策基本法・同法施行令等の適用対象とする弾力的運用や改正の検討並びにその実施期間における一律の生活費相当の金銭給付措置の検討を行うこと。 

3.当面の県民及び事業者等への支援に関して、個々人への一律の支給が予定されている給付金、中小企業・個人企業等の事業者への給付金、資金繰り支援、雇用調整助成金の拡充・要件緩和、賃料の補償等の対応及び税や保険料の猶予・特例措置などを、国民ニーズに合わせてできる限り柔軟かつ迅速に実施していくこと。給付については、必要に応じて複数回の実施を検討するとともに、一連の支援メニューの速やかな実施のために、マイナンバーの活用等を検討すること。

 また、今後の感染状況に応じた必要な追加支援についても、計画的かつ柔軟な対応ができる準備をすること。

4.本感染症の収束後に関して、その時期の見通しはつかないものの、それまでの期間の長さに応じた、収束後の生活支援・経済対策のパッケージを、パターン分けして準備するとともに、全国民・全産業間の公平性を踏まえた大胆かつ大規模な施策・支援を盛り込むこと。

5.子供の教育に関して、臨時休業により学校に行けない子供が、家庭で代替した教育を受け、学習機会が十分に確保されるか否かは、タブレット端末の有無などの各家庭の環境や各自治体のICT教育の整備状況により差異が生じていることから、国において、一律の機会を担保すべく、テレビ放送等を用いた学習機会の提供や、遠隔教育に必要となる家庭や学校のICT環境の整備を早急に進めること。

 また、学校再開に必要となる客観的な最低基準・条件を国において定めること。

 さらに、活動自粛による家庭環境の変化を踏まえて、虐待リスクの高い要保護児童への支援、DVのケア及び保育施設等への支援を充実させること。

6.感染者やその家族、治療に当たる医療従事者等やその家族及び関係者に対する偏見や差別につながる行為は絶対に許されないことから、国民に対し、病気の特性を的確かつ丁寧に説明するとともに、人権侵害や風評被害への対策を講じること。

7.財政的支援に関して、予定されている1兆円の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(仮称)」、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(仮称)」及び「新型コロナウイルス感染症対策予備費(仮称)」については、十分な金額かつ、各自治体での活用が迅速・柔軟にできる運用設計とすること。

 また、今後の感染状況や自治体ニーズに応じた追加措置についても柔軟に対応すること。

 

  以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

   令和  年  月  日

 

                     千葉県議会議長

 

   衆議院議長

   参議院議長

   内閣総理大臣

   総務大臣

   法務大臣

   外務大臣

   財務大臣

   文部科学大臣

   厚生労働大臣

   農林水産大臣

   経済産業大臣  あ て

   国土交通大臣

   環境大臣

   防衛大臣

   内閣官房長官

   行政改革担当大臣

   国土強靱化担当大臣

   防災担当大臣

   経済再生担当大臣

   経済財政政策担当大臣

   地方創生担当大臣

   規制改革担当大臣