第53回定期大会 政策方針案

政務調査会長 河上 茂

【前 文】

 われわれは3年前の参議院通常選挙の大敗に続き、先の衆議院総選挙で惨敗を喫し、野党になった。この国民の厳しい批判を私たちは真摯に受け止め、反省しなければならない。

 自民党の理念や政策に間違いがあったというよりも、長年政権与党であったおごりと、過去の教訓が生かされないままの党運営、新陳代謝がない候補者選定などに対し、多くの国民が不信感を持ち、その結果、わが党は国民の信頼を失ったといえる。

 われわれ自民党はこの反省から学び、特定の勢力に偏らない国民政党との立場を明確に定め、総合計画「輝け!ちば元気プラン」をスタートさせた千葉県の発展を目指し、「光り輝く千葉」を築くため全力を尽くすものである。

 よって本年は次に掲げる点を重点課題とし、確かな将来ビジョンを提示できる新しい保守政党、自由民主党に向け邁進するものである。

◆政権奪還プロジェクトの推進
   民主党を中心とする現在の政権は1度の選挙の勝利で国民主権のすべてを委ねられたとの誤解の下に、国民生活の多くの部分に直接給付を行うなど、あまりに社会主義的な政策と意思決定プロセスが独裁的な政治を露呈している。

 いまこそ自由と民主の下に、正しい日本の保守の旗を立てなけばならない。

 われわれは、昨年の衆議院総選挙後、政権奪還プロジェクトチームを設置し、討議を重ね、政権奪還に向け、次の活動を展開することとした。

 ○県連基盤の確立・充実
   21年の党員は、一昨年から1割減の18,038名であった。

 この数は、厳しい情勢下におかれた自民党とはいえ、618万県民を数え、500万の有権者を有する千葉県においては誠に遺憾な結果である。

 そこで本年は、党所属の国会議員、県議会議員、選挙区支部長においては、15,000人、地域支部・職域支部においては、15,000人をそれぞれ目標におき、県下3万人党員の獲得・定着、さらなる上積みを目指すものである。

 ○人材の発掘・育成
   政党にとって候補者は戦士でもあり、宝といえます。この宝を発掘し、磨きをかけ、さらにはその宝を売り込むセールスマンを育てなければ、自民党の発展は望めません。

 そこで、本年、本部の中央政治大学院と連携し、「人材の発掘・育成」、「党員の意識高揚、研鑽」を目的に、基幹組織である青年局・女性局はもちろんのこと、幅広い分野から人材が参加できる、「政治大学校」(仮称)を県連内に設置するものである。

 ○広報活動
   広報本部では、政策をはじめとする党の大義を国民・県民が共感できるよう「大義と共感」を基本コンセプトに据え、国民・県民目線の情報発信に徹するため次のことを行うものである。

・党員、県民等に対する一定間隔での情報発信・提供
・情報発信手段の多様化(FAX、メール、新聞折り込み)
・遊説班(仮称)の設置
・IT・マルチメディア班(仮称)の設置
・マスメディアの活用(定例会見、発表) ○党勢拡大を目的とした地域視察の実施や女性の声、地域の声を反映する政策の提言

 ○青年局・青年部、女性局活動
   青年局・青年部は、信じる道を自ら切り拓くの気概をもち、臆することなく堂々主張し、女性局は家族を大切にし、地域の絆を重視する基本姿勢のもと、必ず政権を奪還するとの強い決意で次の活動を展開するものである。

・全国統一行動や青年・女性キャラバン隊としての街頭活動を実施する。
・青年・女性組織の未設置支部の解消や関係団体・組織との連携強化等、効果  的な政治活動・選挙活動を展開する。
・各々の党員が保守政党の一員たる矜持を持ち、保守に根差した主張と活動を  一層展開するため、研修活動を強化する。

 ◆党員・党友一致団結し、参議院選挙に勝利しよう
   参議院選挙は反転攻勢のチャンスである。わが党が第一党の座を奪取し、われわれが掲げる政策を少しでも多く実現することは、来年行われる統一地方選挙での勝利につながるものである。

 現在、わが党にとって厳しい時代とはいえ、「その使命と任務は、内に民生を安定せしめ、公共の福祉を増進し、外に自主独立の権威を回復し、平和の諸条件を調整確立するにある」との立党の精神を堅持しつつも、時代が必要とする新たな政策を掲げ続けなければならない。

 子々孫々、誇りある日本、そして世界を残すことは私たちの義務であり、この冬の時代に、理念を同じくし、集まった者こそが真の友であり、自民党が再び政権を奪還するための闘いに共に臨む仲間である。

 われわれは、決してあきらめず、また振り返ることなく、党員・党友一致団結して来る第22回参議院議員通常選挙、統一地方選挙の勝利に向け邁進するものである。

 ◆県民本位の輝く千葉県を創造し、真の地方主体の千葉県を築こう
   一年が経過した森田県政による千葉県は、方向性の定まらない場当たりの前県政から、本県の力を明確に前面に出し、各種施策を積極的に展開する躍動感ある県政へと転換してきた。森田知事は、それまでの施策を見直し、体系的・計画的な県政の展望を示し、予算付けの方向性を変え、千葉県の力と魅力を最大限に活用し、情報を発信する県政へと歩き出した。

 わが党と思いを共有する森田知事への期待は今後とも多大であるが、千葉県の方向転換の完結には、こうした方向、施策を推進する体制の整備が最後に必要である。新たな千葉県の推進体制として、前県政の感覚を引きずる旧体質を一掃し、全県挙げて千葉の新時代に向かう体制の整備こそが、真の森田県政のスタートである。

 われわれは、「県民に目を向けた県政」、「県民本位の県政」を本旨として、県政運営において、車の両輪としての責任政党の立場と、二元代表制における監視機能としての議会の立場と、まさにチェック・アンド・バランスに十分配慮しながら、引き続き県政に責任を果たしていく所存である。

 平成22年度県予算は、森田知事による初めての本格予算として編成されたが、この予算に対してわが党は、最重点要望として、

1.私立学校経常費補助
2.水道総合対策補助
3.医療体制の充実と医師等の確保
4.子育て支援の充実(乳幼児医療対策)
5.高齢者福祉の充実
6.有害鳥獣対策の強化
7.観光の振興
8.中小企業振興策の充実
9.成田空港を活用した新産業の確立
10.企業立地施策の展開
11.農業県ちばの確立
12.国道・県道の整備促進と維持補修の充実
13.国民体育大会・全国障害者スポーツ大会に向けた取り組み
14.総合的な学力向上と教育環境整備
15.安全・安心のための治安の向上(警察官等の増員)

 の15項目を要望し、前県政下で低迷に追いやられた私学助成の拡充や子育て支援の充実、農業関係予算や道路関係予算、さらに、中小企業対策や企業立地など、県民ニーズの高い、また、本県にとって真に必要な予算の確保を図った。

 政策の立案・展開については、わが党の特徴である津々浦々まで行き届いた組織体系を最大限に活用し、支部の第一線からの政策提言を採り込みながら党県連としての政策体系として構築していく体制を整えることとする。同時に、県民対話については、広範・多様な県民の声を基に、真に、県民による県民のための県政をめざし、より一層の強化を図っていく。

 時代に即した県政運営のためには、変化を敏感に感じ取る時代を見据える確かな眼と県民ニーズを的確に把握することが最も求められている。

 国政においては、現在、野党となったわが党だが、県政においては、今後とも責任政党であり続けなければならない。厳しい経済状況の克服と新しい時代の社会システム構築という困難な命題に対し、失敗が許されない的確な対処なくして、真の地方の主体性はあり得ない。

 施策の選択についても、継続、大幅見直し、思い切った新規の施策展開など、より一層の厳しい選択が求められており、国のみならず、激動する社会・経済情勢の第一線である地方からの構造改革がまさに急務である。

 県政における責任政党であるわが党は、その使命を十二分に認識し、わが党主導でのきめ細かな県民対話による地域の要望・ニーズの把握に努めていく。そのうえで、将来を見越した的確な政治の指導力を発揮し、時代を見据えた政策の立案・実行に努め、真に全国をリードする輝く千葉づくりのため県民とともに邁進する。

第53回県連定期大会