令和2年6月定例県議会 代表・一般質問質疑内容を掲載

6月16日(火) 第1日(代表質問)

  • 【土砂災害警戒区域53%指定】
    中沢裕隆議員は、昨年秋の豪雨で土砂崩れによる死者が出たことを受けて県が進める土砂災害警戒区域の指定状況を聞いた。

    高橋渡副知事は指定予定の1万980カ所のうち5月末現在で53%、5824カ所の指定を終えたと報告。豪雨前の指定率が全国最低の36%だったことから中間目標に掲げた「2020年5月末までに指定率50%」は達成した。21年5月末までに指定完了を目指す。

    昨秋は千葉市緑区誉田町など指定予定箇所でなかった場所でも土砂災害が起き、死者が出た。斜面の角度30度、高さ5メートルの指定基準に合致していて指定すべきなのに見落とした場所があった。その反省を受け、県は高精度なデータを用いて新たな指定必要箇所も抽出する。今年中に開始し、24年までの完了を目指す。

6月18日(木) 第3日(一般質問)

  • 【児相職員の離職や休職多く】
    瀧田敏幸議員は、県の児童相談所・一時保護所職員の休職、離職状況を確認した。

    加瀬博夫健康福祉部長は昨年度、児童福祉司9人、一時保護所職員7人が定年以外の理由で退職し、精神疾患で1カ月以上の療養・休職をした職員も18人いたと説明。

    若手職員への支援が特に必要となり「指導を行うスーパーバイザーを地域ごとに置き、中堅職員がサポート役となるよう配慮している」と答弁した。ICT(情報通信技術)の活用も進めて職員の負担軽減を図る。
  • 【児童安全確保、市町村に通知】
    伊豆倉雄太議員は、市原市で乳児が衰弱状態で放置され死亡した事件を巡る対応を確認。

    加瀬健康福祉部長は、昨年の野田市女児虐待死を受けて今年3月に「子ども虐待対応マニュアル」を改定し、市町村に周知を図ってきたと説明した上で「市原の事件が起きたことを大変重く受け止めている」とし、「児童の安全確保徹底について改めて市町村に通知をした」と報告した。

    リスク評価や県児童相談所との役割分担、市町村の関係部署内連携などの徹底を目指すという。
  • 【家族高齢化、拉致早期解決を】
    中村実議員は、北朝鮮による拉致被害者家族の高齢化を踏まえ、県の認識を聞いた。

    森田知事は、横田めぐみさん=失踪当時(13)=の父・滋さんの死去を「長い間家族を取り戻すために活動されてきた中で、その思いがかなわず誠に残念」と追悼。

    「拉致はわが国の主権、国民の生命と安全に関わる重大問題。ご家族が高齢になる中、全ての被害者が一日も早く帰国できるよう、総力を挙げなければ。県としても早期解決に向けた機運醸成に取り組む」と強調した。

6月19日(金) 第4日(一般質問)

  • 【外房新ダイヤで乗継向上を】
    小路正和議員は、県南部のJR外房線の運行本数維持や乗り継ぎ改善の必要性を指摘。

    鎌形悦弘総合企画部長は「外房線の利便性向上は大変重要」とし「JRが来年春ごろ、車内の快適性やバリアフリーに対応した新型車両を外房線に投入予定で、これに合わせて上総一ノ宮駅以南で新しいダイヤ編成が想定される」と説明。

    「こうした状況を踏まえ、沿線市町村と意見調整を図りながら、運行本数の維持や乗り継ぎの改善をJRにしっかりと働き掛ける」と強調した。
  • 【在宅者に「宿泊療養必要」】
    鈴木ひろ子議員は、新型コロナウイルス軽症者の宿泊施設での療養の進め方を確認した。

    渡辺真俊保健医療担当部長は、当初の方針では、入院を続ける必要がなくなった人に宿泊施設へ移ってもらっていたが「『軽症者は宿泊療養を基本にする』と国が方針を変更したことを踏まえ、自宅からも直接、宿泊療養施設で受け入れを行っている」と説明した。

    自宅療養している人には、保健所が健康状態を毎日確認しながら宿泊療養の必要性を説明し、入室を促しているという。
  • 【観光列車・ツアーで利用促進】
    小高伸太議員は、JR外房線を活用した地域の観光振興の取り組みについて聞いた。

    鎌形総合企画部長は「外房線は利用者が減少傾向にあるが、地域を支える生活交通としての役割と、外房地域の観光振興のためにも不可欠な路線で、利用促進への取り組みが重要」と説明。

    県や沿線自治体で構成された団体と連携し、観光列車の運行、沿線の観光資源を生かしたツアーの企画をJR東日本に働き掛けると答弁。来春の新型車両運行に伴ったイベント実施も検討する。
  • 【ネット販売挑戦の業者支援】
    佐藤健二郎議員は、新型コロナの影響で新たな販売手法に取り組む業者への支援策を質問。

    田中剛商工労働部長は「新たな生活様式の普及でインターネット販売に取り組む業者が増えている一方、小規模業者にはノウハウがないことから支援が重要」と答弁。

    県の産業振興センターに相談窓口を設置し、売り上げ向上などの課題に対応する。専門家が事業所を訪問して助言を行うのに加え、インターネットを活用して対面せずに行うITセミナーの実施で支援を進めていく。

6月22日(月) 第5日(一般質問)

  • 【延期五輪、新計画や対策反映】
    茂呂剛議員は、新型コロナで来年夏に延びた五輪・パラリンピックへの対応を確認。

    森田健作知事は「引き続き幕張メッセと釣ケ崎海岸で競技ができるよう会場確保を調整中」と説明した上で、費用最小化・簡素化で合意した大会組織委員会や国際オリンピック委員会が、新型コロナへの具体的な対策も秋から年末にかけて詰める予定になったと報告。

    「検討の進展を注視し、組織委が策定する新たな大会運営計画を踏まえ、県でも必要な取り組みを行う」と強調した。
  • 【無車検車の摘発、昨年222件】
    高橋祐子議員は、法に定める検査を受けていない無車検車の取り締まり状況を聞いた。

    早川治県警本部長は、無車検の危険性を挙げた上で、交通取り締まりなどを通じて発見に努めているとし、県警が昨年1年間に無車検車運行222件を摘発したと説明。

    昨年は国土交通省運輸支局など他機関と合同の街頭検査・取り締まりも20回。持ち運び式ナンバー自動読取装置の使用でも協力した。「関係機関としっかり連携協力し、悪質危険な違反の取り締まりに努める」とした。
  • 【感染防止考慮、聖火リレーも】
    伊藤和男議員は、延期された五輪・パラ開催に向けたコロナ対策をただした。

    高橋俊之オリ・パラ推進局長は「地域経済やスポーツの振興につながり、子どもたちに勇気や希望を与える貴重な機会になる」と開催効果を説明。県内での再度の感染拡大防止に全力で取り組んだ上で事前のスポーツ大会やイベントに「新たな生活様式」で対応し、五輪・パラ開催の環境整備を進めると強調した。

    聖火リレーや事前合宿も感染リスクを考慮した実施方法を模索する。

6月23日(火) 第6日(一般質問)

  • 【棚田振興、鴨川2地域を選定】
    川名康介議員は、水源や景観の維持機能も持つ、県南部の棚田地域の振興を訴えた。

    穴沢幸男農林水産部長は、棚田地域振興法が制定されたことを受け「今年3月、県の支援策などを盛り込んだ棚田地域振興計画を策定し、鴨川市内の2地域を選定して5月に国の(対象)指定を受けた」と報告した。

    今後、国の優遇措置を受けるには地元の市町村や農業者、地域住民らで構成する協議会が、各棚田地域の振興保全活動の目標を示す計画を策定し、国の認定を受ける。
  • 【高齢者虐待防止へ働き掛け】
    宮坂奈緒議員は、高齢者虐待防止のネットワークが未構築の市町村への支援を質問。

    加瀬博夫健康福祉部長は、高齢者への虐待防止や被害者保護のための仕組みが県内8市町村で整備されていないとし「県高齢者対応マニュアルの周知や担当者への研修を通して整備促進・強化を働き掛ける」と答弁。

    各市町村がつくるネットワークには、地域の民生委員やボランティアとの連携、福祉施設との連携、警察や保健所との連携の3項目があり、県は構築を呼び掛けている。
  • 【来日介護人材の不安払拭へ】
    森岳議員は、留学生の来日延期を受け、介護人材受け入れ事業の現状を聞いた。

    加瀬健康福祉部長は、留学生は現地の日本語学校で勉強を続けており「(新型コロナウイルスに伴う)入国制限が解除されたらスムーズに受け入れられるよう準備している」と答えた。

    県の外国人介護人材センターのベトナム人スタッフがオンラインで面談に応じるほか、日本の情報を盛り込んだメールマガジンを送るなど留学生の不安払拭(ふっしょく)も図る。