平成30年6月定例県議会 代表・一般質問質疑内容を掲載

6月19日(火) 第1日(代表質問)

  • 【成田用水改築も財特法対象】
    林幹人議員は、成田空港機能強化に伴う地域振興に「成田財特法」が不可欠とし、同法延長に向けた県の方針を確認した。

    同法は成田空港周辺の公共施設整備などを推進するため、県や市町村に対する国の補助をかさ上げ。開港8年前の1970年に制定され、これまで7回延長。来年3月末に現行の期限を迎える。

    森田健作知事は、空港機能強化が今後本格化する状況も踏まえ「さらなる延長は欠かせない」と強調。未完了事業への継続適用に加え「成田用水施設の改築事業や必要な道路整備などを(県が申請する)新たな対象に追加し、しっかり国と協議していく」と説明した。

    空港周辺農家に農業用水を供給している成田用水は、開港に伴う財特法事業として整備され、施設の老朽化対策が急務。

6月21日(木) 第3日(一般質問)

  • 【りんかい線直通、観光寄与も】
    佐野彰議員は、JR京葉線と東京臨海高速りんかい線の相互直通化を改めて求めた。

    相互直通化は、2年後の東京五輪・パラリンピック時の幕張メッセ会場への円滑な移動などに向け、県や沿線市が要望中。今泉光幸総合企画部長は「通勤通学の利便性、首都圏各地からメッセや県内観光地へのアクセス向上にもつながる」と説明。湾岸部・首都圏全体の発展に寄与する観点からもJRなどに実現を働き掛けると説明した。

    県議会も超党派で促進議連を月内に設立する。
  • 【三郷流山橋、橋脚工事着手へ】
    武田正光議員は、流山市と埼玉県を結ぶ「三郷流山橋」の建設事業の進展を確認した。

    千葉、埼玉両県が共同で江戸川に架ける同橋。整備加速(2022年度末完成)を図るため有料道路化への同意を求める議案を県が提出した。

    同市は、つくばエクスプレス沿線開発で人口増加中。野田勝県土整備部長は「(市内で江戸川に唯一既存の)流山橋に集中している交通を分散させる」と意義を強調し「本年度は千葉県側の取り付け部分や橋脚の工事に着手予定」と説明した。
  • 【落花生新品種は商標出願中】
    山本義一議員は、今秋販売開始の県産落花生新品種の愛称選定やPR戦略を聞いた。

    半田徹也農林水産部長は、県による愛称募集に6330点の案が寄せられ、既に選定を終えた一方、商標登録出願中で、発表は来月になると答弁。販売開始は11月ごろ。お披露目行事や購入者対象の抽選企画、地域イベントでの試食品配布などを通じて「積極的にPRしていく」と述べた。

    県によると、新品種「千葉P114号」はさやが白く、甘いのが特徴。病気にもなりにくい。

6月22日(金) 第4日(一般質問)

  • 【特別支援学級在籍者36%増】
    中沢裕隆議員は、特別支援学級の児童生徒数や、担任教員の専門性向上施策を確認した。

    同学級は公立小中学校に設けられ、軽度な知的障害などがある子の教育を担う。昨年5月の在籍人数は1万41人(2224学級)で、2012年から人数は36%、学級数は20%増えている。

    通常の教員免許のみでも指導できるが、県は専用の免許取得に向けた講習会を開いており、昨年度は728人が受講。沢川和宏教育長は「専門性の高い担任を計画的に育成していく」と答弁した。
  • 【管理計画でカワウ被害抑制】
    伊豆倉雄太議員は、野鳥「カワウ」による河川の漁業被害(食害)の軽減対策を確認した。

    半田徹也農林水産部長は「被害は全国的に拡大傾向で、県内でもアユ漁が盛んな養老川や小櫃川で発生」と説明。関係団体と昨年3月に策定した管理計画に基づき、漁場侵入を防ぐテープの設置や花火での追い払いなどの対策経費を支援し、繁殖抑制手法も研究中で、漁業者と連携しながら軽減に努める方針を示した。

    養老、小櫃、湊川の3水系で年間被害は300万~600万円という。
  • 【「農福連携」の課題解決支援】
    戸村勝幸議員は、障害者が農業に就労する「農福連携」の県内の取り組み状況を聞いた。

    県は今年2月、就労支援などを行う障害福祉サービス事業所にアンケートを初実施。278事業所のうち74が農作業に取り組んでいたが、ノウハウがないため品質管理や販路拡大が難しいなどの課題も明らかとなった。

    横山正博健康福祉部長は専門家の派遣など現状の支援に加え、今後は「施設が生産した農産物を販売する『農福連携マルシェ』を開催し、販路拡大を図る」と答弁した。

6月25日(月) 第5日(一般質問)

  • 【犬猫チップまだ目標5割強】
    山中操議員は、ペットの迷子を防ぐマイクロチップ装着の県内進展状況を聞いた。

    岡田就将保健医療担当部長は、同チップの利点を「災害時に離れ離れになった場合も確実に飼い主を特定でき、速やかな返還につながる」と説明。一方、県内の犬猫への装着は県が2014年に定めた目標「23年度に20万匹」に対し、今年4月時点でまだ約11万匹にとどまると明らかにした。

    1年前比で約1万3千匹増だが、鈍化気味。装着を受け付ける動物病院での啓発を強化する。
  • 【警察学校校則緩和で退校減】
    中村実議員は、県警警察官を養成する県警察学校の中途退校を防ぐ対策を聞いた。

    同校では今春までに校則を見直し、校内での携帯電話使用を一部認めたほか、髪型や服装、外泊などの制限を緩和。永井達也県警本部長は「規則(校則)の内容だけを理由に有意義な人材が退職することがないよう努めている」と答弁した。

    同校担当者によると、昨年度まで校則を理由に春の入校直後に退校する学生が複数いたが、緩和後の本年度は6月現在で同様理由の退校はない。
  • 【中古「安心R住宅」周知注力】
    宍倉登議員は、中古住宅の流通促進・市場活性化を図る動きや県の方針を聞いた。

    行方寛都市整備局長は、県内で増加見通しの空き家を防ぐ観点からも中古住宅活用は「非常に重要」と答弁。今年4月、国が耐震性や建物の調査・点検記録が整うなどした中古住宅に「安心R住宅」の標章を用意し、販売時広告に使える制度を始めたことを報告した。

    「県も同制度が有効と考える」と強調。ホームページや会議・講習など「あらゆる機会を捉え、周知を図る」とした。

6月26日(火) 第6日(一般質問)

  • 【移転区域前提手続き年内に】
    小池正昭議員は、成田空港機能強化に伴う住民移転に必要な手続きの予定を確かめた。

    森田健作知事は、3月の機能強化合意を受け、騒特法上の移転補償区域設定の前提となる「航空機騒音対策基本方針」の変更案を県が作成し、関係機関と協議中と説明。

    「来月に案の公告縦覧を開始予定で、関係市町長の意見照会、国土交通相への同意申請などを順次進め、本年中をめどに変更決定したい」と答えた。その後、区域などに法的効力を持たせる都市計画決定手続きに入る。
  • 【粟野バイパス用地取得進む】
    石井一美議員は、国道464号粟野バイパスの整備状況について聞いた。

    県は鎌ケ谷市街地の交通渋滞緩和に向け、将来的に北千葉道路の一部に組み込むことも視野に同バイパスの整備を進めている。全長1・7キロのうち東側の工区0・8キロで用地取得が進んでおり、野田勝県土整備部長は「同工区の用地取得の進ちょく率は面積ベースで約5割」と答弁した。

    県は残る西側の工区0・9キロの用地取得に向け、本年度中に権利者確認調査を実施する方針。
  • 【五輪波及へ観光立県新計画】
    今井勝議員は、東京五輪・パラリンピックを弾みにした県内観光振興策を聞いた。

    本県が競技会場や合宿地、成田空港を通じた空の玄関となる2020年東京五輪・パラ。森田知事は「国内外に本県の魅力を伝える絶好の機会を逃さず、大会以降も戦略的に推進するため、来年度から5年間の『第3次観光立県ちば推進基本計画』を本年度中に策定する」と説明した。

    多言語による観光情報発信・案内の充実や交通移動支援、もてなし力の向上などを加速させる。