臨時の医療施設を含む医療体制の整備強化を求める緊急申入書 | ちば自民党

臨時の医療施設を含む医療体制の整備強化を求める緊急申入書

 現在も拡大する新型コロナウイルスの脅威は、世界を震撼させ、4月16日時点で、我が国の感染者数は8,582名、死者数は136名、本県における感染者数は586名、死者数7名と、日々増え続けており、収束の見通しがつかない状況にある。

 現在のところ、確立された特効薬やワクチンはなく、また、他国で起きたような、指数関数的な感染者の増加例を考えると、新型コロナウイルス以外の疾患にも影響を与える医療崩壊だけは何としても防ぎ、県民の命を最優先で守っていかなければならない。

 そのために不可欠な感染拡大防止策については、我が国の現行の法制度の下では、措置として、欧米で見られる都市封鎖を行えるような強制力はなく、基本的には活動の自粛要請、すなわち、県民ひとりひとりの協力による行動変容にかかっている。

 現在、県民一丸となってこれに取り組んではいるものの、休業補償等の困難な問題が伴うなど、この自粛による感染拡大防止策に限界があることは否定できない。

 このようなことから本県医療体制の整備は、喫緊の最優先課題であり、これは感染爆発までをも視野に入れなければならない。

 県民の命を守るための危機管理として、最悪の事態に備えた施策の空振りは当然許されるべきであり、また、日々、最前線で命を懸けて闘い、本県医療を支えている病院や医療従事者等に対しては、支援を徹底的に充実させるべきである。

 現在、県当局では、医療体制の整備を鋭意進めているものの、県当局の発表内容や、我が党への準備状況の説明等からは、県内の医療環境は大変厳しい状況にあることが伺える。さらに踏み込んだ取組みを、躊躇なく大胆に行うことが必要であり、また、最悪の事態を想定したプランの策定・準備も急ぐべきである。

 そのためには、新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」とする)に基づく県の行動計画や対応マニュアルが、新型インフルエンザを想定したものがベースとなっていることを踏まえつつも、今回の特性を加味した大胆なアレンジを行う柔軟性、すなわち、状況に応じて、当初の計画の大胆な変更・修正をも視野に入れる必要がある。既に、臨時の仮設医療施設の設置を表明している神奈川県など、他都県における先駆的な取組みも参考とするべきである。

 そこで、我が党は、県当局に対し、緊迫している感染状況の下で、喫緊の最優先課題である本県医療体制の整備に関して、当局を後押しする観点から、以下の項目を踏まえた対応を求める。

 なお、我が党は、今後開催予定の臨時議会において、特措法に基づく「臨時の医療施設の設置の迅速化及び円滑化に関する条例案」を提出する予定であることを申し添える。

① 対応病床の確保・増床を進めるにあたっては、その基となる56の病院側から提出された行動計画の実行性を、病院側の人員、医療資材、院内感染発生の有無などの日々の状況変化を丁寧に捉えて検証するとともに、不測の事態に備えた代替措置についても計画的に準備を進めておくこと。

② 無症状者や軽症者が滞在するホテル等の民間施設の確保については、感染拡大に備えた十分な規模の施設を計画的に確保していくこと。

③ ①の代替措置の1つとして、特措法48条に定める臨時医療施設の設営プランの策定と、必要に応じて迅速な設営ができる準備を整えておくこと。

この臨時医療施設については、後掲⑩の感染等による医療崩壊を防ぐ観点から、発熱や咳といった症状を呈した人に対応するための発熱外来診療を行うことを目的とする、比較的簡易・小規模な施設を含む。

④ ③の臨時医療施設については、発熱外来診療の設置など、感染拡大のフェーズに応じて規模を柔軟に調整・拡大できるような場所(幕張メッセなど)を選定・確保するとともに、また、②の施設との併設等の効率化も検討すること。

⑤ ①から④に関しては、人工呼吸器などの医療機器や、N95マスク、防護服、フェイスガード、ゴーグル、手袋などの医療資材が不足することのないように最優先の供給を徹底すること。また、医療資材については、やむを得ない場合の代替物のガイドラインの策定や、それに必要な資材の確保・供給を県が責任をもって行うこと。

⑥ ①から④に関しては、医師会や看護師会等との関係団体と連携し、必要となる医療スタッフの確保と、実施に必要な研修等を速やかに進めておくこと。

⑦ ①から⑥に関しては、スケールメリットを活かし、限られた医療資源・人材の集約化・効率化を図るように出来る限り工夫すること。

⑧ ③及び④の臨時医療施設の準備を進めるために、外部人材の登用を含めた対応チームを速やかに設置すること。

⑨ 保健所職員の人員体制の強化を行い、いわゆるドライブスルー方式を含めたPCR検査の拡大を図っていくこと。また、抗体検査も検討すること。

⑩ 新型コロナウイルス以外の疾患に関しても、対応する病院や診療所についても、スタッフの感染等による医療崩壊を防ぐ観点から、オンライン診療の導入支援や、不足している医療資材の確保・供給を優先すること。また、透析患者が感染した場合などの特別の配慮が必要なケースについては、当該患者や医療機関への支援を行うこと。

⑪ 県民の命のために、最前線で闘っている病院は、経営上の赤字リスクを負っていること、及び医療従事者等の多くは、通常の賃金体系の枠内で、感染の危険に晒された任務に命を懸けて従事していることを踏まえて、県からこれらの者に対するインセンティブの付与を検討すること。

⑫ 高齢者施設、障害者施設、保育園などの社会福祉施設についても、不足しているマスクやアルコールなどの確保・供給に尽力すること。

⑬ 県立学校の再開については、上記の医療体制の整備の進捗状況を踏まえて、少なくとも、感染爆発に備えた十分な医療体制が担保されることを一つの条件とすること。また、県立以外の学校についても、同様となるように、緊密に連携すること。

⑭ 国への支援要望の徹底、近隣都県との連携・情報交換を十分に図ること。

⑮ 知事の記者会見においては、上記に関するデータを示すなど、なるべく具体的な事実を提示するように努めること。

⑯ 我が党は、県当局が上記の迅速な実施のために必要な専決処分を推奨する。

以 上